siratuk6’s blog

読書と英語、資格学習について書いています。

読書ノート  光の帝国 ー常野物語ー   恩田陸

 

集英社文庫 ファンタジー

発行2000年。今から24年前の本。

 

 短編集で1話1話が淡々と上品な語り口だけど、そこに見えない不吉を差し込まれたような、怖さを秘めた優しい話。権力への執着を持たないが知的で穏やか、そして超常の力をもつ常野の一族。彼らはときに権力に迫害され、追い回され非業の死を遂げる。恩田陸氏の戦争の表現は背筋を寒くする。本書の中の光の帝国は優しさと残酷さが高濃度で混ざり合い、泣くしかない。

 一つ一つの話がパズルのピースになっていて、1ピースでは何を描こうとしているのかわからない。何度か繋げてみて、ようやく、これはこれと繋がるのだとわかるけど、まだ全体像は見えない。そんな感覚。